最終更新日 2024.06.28
こんにちは、暗号資産(仮想通貨)に関する寄稿をしている師田賢人です。
新しいことを学ぶときに、「基本」をきちんと押さえることは、とても大切です。基本を知らないと「応用」が効かないですよね。
暗号資産(仮想通貨)を学ぶときも同じです。暗号資産の基本は一言で言うと、ビットコインの仕組みそのもの。
この記事を読めば、ビットコインの「マイニング(採掘)」を学ぶことで、暗号資産の基本を押さえることができるはずです。
ちなみに、マイニングについて調べると、「ソフトウェア(抽象的)」の視点から解説するコンテンツは多いですが、「経済(具体的)」の視点から説明するものは、ごく一部です。抽象的な説明だけだと、具体的にイメージしにくいですよね。
そこで今回はLINE BITMAXの中の人にヒアリングして、マイニングを経済の視点からお話しします!
マイニングで押さえておきたい3つのポイント
最初に、マイニングにおける前提知識をごく簡単に解説します。
押さえるポイントは「3つ」です。
- マイニングとは何か?(What)
- なぜマイニングが必要か?(Why)
- どのようにマイニングをするか?(How)
1.マイニングとは何か?(What)
ビットコインのマイニングは、「難易度の高い計算競争」です。この競争に勝利したマイナー(マイニングをする人)が、ビットコイン(BTC)を報酬として受け取れます。
参考:
ビットコインのマイニングを理解するときは、金(ゴールド)のマイニング(採掘)について考えを深めることがとても大切です。
ビットコインと金(ゴールド)のマイニング(採掘)を比較して、整理しました。
ビットコインは、金(ゴールド)のマイニングと比べたときに、新しい市場であるだけではなく、デジタル資産であるため、非常に扱いやすいという特徴があります。そのため、参入障壁が低く、業界地図の入れ替わりも激しいです。
両者が似ているところは、その希少性です。ビットコインも金(ゴールド)も、すでに多くが採掘済みであることをご存じでしょうか? 資産の価値は、需要と供給によって大きく影響を受けるため、希少性について意識をしておくことは、暗号資産について理解する上でとても大切です。
2.なぜマイニングが必要か?(Why)
マイニングをする理由は、特定の組織や企業、団体に頼ることなく「取引の確認・承認の正しさを証明する」ためです。
例えば、銀行でお金を誰かに振り込んだとき(取引)、その取引の正しさは銀行が証明しますよね。しかしビットコインには、運営する主体は存在しません。そのため、マイニングという技術的なアプローチで、取引の正しさを証明する必要があるのです。
このような考え方をコンセンサス・アルゴリズム(合意形成の仕組み)といい、さまざまなアプローチが存在します。ビットコインは、Proof-of-Work(作業による証明)というものを採用しています。
3.どのようにマイニングをするのか(How)
ここでは、どのようにマイニングをするのか、
- マイニング方法
- デバイス
- チップ
を軸に整理しました。
A.マイニング方法 | |
---|---|
a.1: ソロマイニング | 個人あるいは法人が機材を揃えてすべて自力でする |
a.2: プールマイニング | 自分で機材を揃えて計算力を業者に提供する |
a.3: クラウドマイニング | マイニング業者に外注して配当・利益を受け取る |
B.デバイス | |
b.1: PC/サーバー | 計算力をカスタマイズできる |
b.2: スマートフォン/タブレット | b.2: スマートフォン/タブレット |
C.チップ | |
c.1: CPU | 汎用的処理をするチップ |
c.2: GPU | グラフィック処理に特化したチップ |
c.3: ASIC | マイニングに特化したチップ |
LINE BITMAXの中の人に聞いて面白かったのが、今までは「c.3: ASIC」の最新版の製品や仕様などに関することが、マイニング業者の間ではよく話されていたようです。
しかし、近年は後ほど触れるBTC価格の高騰と性能向上を背景として、「c.2: GPU」によるマイニングがホットトピックとして上がることが多いという話でした。
例えば、アルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)のマイニングは、表内で赤字になっている組み合わせで行われ、ビジネスとして成り立つ傾向です。
マイニング施設の実体に迫る
ここでは、マイニングでの施設や地域、ビジネスモデルについて考えましょう。
マイニングは、世界各地の国家や地域で行われています。
マイニングが最も活発に行われている国家は中国です。特に、内モンゴル地区とウイグル自治区において顕著です。「気温の低さ」と「電力費の安さ」を主な理由として、それらの地域が選ばれています。
今まではビットコインにおけるマイニングの6割近くが中国で行われていました。ところが最近、中国に集中化する傾向が弱まっていて、割合が相対的に落ちているという話があります。それには2つの理由があります。
マイニング分散化の理由1: ビットコイン価格の高騰
マイニング事業者が分散化しているひとつ目の理由は、ビットコイン価格の高騰です。これを理解するために、マイニング事業における損益分岐点について考えましょう。
基本的に、損益分岐点の計算式は次のようになります。
“①収益 - ②費用(固定費+変動費) = ③利益”
ビットコイン価格の高騰は、「①収益」の増加に直結するのです。
「②費用」の内訳は下記のようになり、
- 固定費→マシン購入費
- 変動費→電力費
この要素が、大きく変動することはありません。
しかし、米国やカナダ、ロシアなどの一部の国家・地域では、マイニング事業への参入が増加しています。マイニングを行うグループや個人が集中化すると、51%攻撃(※)といわれるような大がかりなハッキングの危険性も増すため、世界的に参入事業者が増加している傾向はとても健全です。
※悪意を持つグループまたは個人が、ネットワーク全体の計算力の51%(過半数)を支配することで、採掘を独占して、不正な取引を行うこと。
ここまで、マイニングにおけるビットコインと金(ゴールド)の類似点についてお話ししました。しかし金の産出国が大きく変わることはありません。金のマイニングは、オフラインモデルだからです。
一方、ビットコインのマイニングは、オンラインモデルです。価格の上下により産出国が大きく変動するという点において金と相違があり、「デジタルゴールド」と呼ぶにふさわしいでしょう。
マイニング分散化の理由2: 自国通貨とビットコインへの信頼の逆相関傾向
マイニング事業者が分散化しているふたつ目の理由は、自国通貨への信頼度が低い国家がビットコインを国家備蓄として、蓄えようとしている動きです。
国名を具体的に挙げることは難しいですが、マイニング事業者からビットコインを買い上げる「国家政策」を実施していることもあるようです。
これに対して、日本や米国のように自国通貨(フィアット)への信頼が厚い国の人々は、ビットコインの信頼性に対して、懐疑的であるという話も聞かれます。
確かに、「今月のお給料、現金とビットコインどっちで渡そうか?」と上司に聞かれたら、現金と答える人が日本では多いように思います(笑)。
ビットコインは、「デジタルゴールド」として進化しつつある
ここまで、マイニングを経済の視点で捉えつつ、世界的なビジネスモデルの動向について、LINE BITMAXの中の人にヒアリングした話を基に、解説してきました。
マイニングという視点で切り取っても、ビットコインをはじめとする暗号資産における最近の動きはとても速く、キャッチアップすることは大変です。
ただひとつ大きく感じるのは、BTCが過去最高値を更新しても、2017年頃の「暗号資産バブル」のような雰囲気を味わうことはありません。執筆時点(2021年2月)では、ビットコインを取り巻くエコシステムは、とても成熟してきています。
本記事のエッセンスとして、ビットコインのマイニングと金(ゴールド)のマイニングを比較してきました。ビットコインも「デジタルゴールド」として、みなさんのポートフォリオの一部に加えてみてはいかがでしょうか。
Text/師田賢人(@kento_morota)
Illust/アッシー(@Ashida_Assy)
Edit/プレスラボ(@presslabo)
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