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イーサリアム(ETH)の「Merge(マージ)」について

Ethereum Foundation(イーサリアム財団)は2022年9月15日頃に、「Merge(マージ)」と呼ばれる大型アップデートを予定しております。

こちらのアップデートを通して、イーサリアムの合意アルゴリズムが現在のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)プロトコルからプルーフ・オブ・ステーク(PoS)プロトコルに変更される予定です。

▼公式アナウンス (外部サイト)
Mainnet Merge Announcement

当社の対応

当社は今回のハードフォークを迎えるにあたり、お客さまからお預かりしているETHを安全に管理することを目的として、ETHに関わる各種のLINE BITMAXサービスの停止を予定しております。詳細に関しては、お知らせ「イーサリアム(ETH)の「マージ」ハードフォークに伴う各種サービスの利用制限について」にてご確認ください。

今回のハードフォークにより新暗号資産「ETHW」が発生するリスクも高まっております。(以下「開発陣営とマイナー陣営の対立による新暗号資産の発生リスク」をご参考ください。)

ETHWの新暗号資産が発生する場合、当社の「計画されたハードフォーク及び当該ハードフォークにより生ずる新たな暗号資産に係る対応方針について」に従い、安全性及び価値等をモニタリングし、その新暗号資産の付与もしくは新暗号資産の付与に代えて新暗号資産相当額の金銭をお客さまに交付をする場合があります。

当社のETHWの対応方針

  • 現在、ETHWの配布等に関しては未定となっております。
  • Merge(マージ)後、当社にてお取り扱いするETHは、ETHのPoSチェーンとなる予定です。
  • 当社は、Merge(マージ)時点のお客さまのETH資産のスナップショットを取得いたします。
  • 対応方針に変更がある場合は、お知らせ等にてお客さまにご案内いたします。

今回のハードフォークの背景について

ETHのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への変更計画について

イーサリアムはPoWチェーンとして2015年7月にリリースされましたが、その前年の2014年には、イーサリアム設立者のVitalik Buterin氏が公開ブログ等にて(例:On Stake(外部サイト、英語)PoSに関して議論していました。

結果的にETH PoWチェーンがリリースされてから3か月も立たない2015年9月には、2年以内にPoS仕様への切り替えを促進することを目的とする「Difficulty Bomb(採掘難易度爆弾)」がイーサリアムチェーン上に実装されました。

Difficulty Bomb (採掘難易度爆弾)は、イーサリアムPoSへの更新が行われた後、イーサリアムPoWの仕様のまま旧チェーンのマイニング(採掘)が継続して行われないように設計されております。

Difficulty Bomb (採掘難易度爆弾)が発動すると、採掘が急に難しくなり、マイニング(採掘)をしても利益がほぼ得られない状況を作り、マイニングをするモチベーションを下げ、イーサリアムPoWチェーンを終息させることを目的にしています。

最終的には、PoS仕様の準備は当初の予想よりも時間がかかり、以下の<表1>に記載するように、6回ほど「Difficulty Bomb(採掘難易度爆弾)」の発動が延期されてきました。

<表1>
Difficulty Bomb (採掘難易度爆弾)の設定および延期
アップデート名称 EIP 日付 詳細
Frontier - 2015年7月 ETH PoW リリース
ブロック0採掘)
Frontier Thawing - 2015年9月 Difficulty Bombの実装
Byzantium EIP 649 2017年10月 Difficulty Bombの延期
Constantinople EIP 1234 2019年2月 Difficulty Bombの延期
Muir Glacier EIP 2384 2020年1月 Difficulty Bombの延期
London EIP 3554 2021年8月 Difficulty Bombの延期
Arrow Glacier EIP 4345 2021年12月 Difficulty Bombの延期
Gray Glacier EIP 5133 2022年6月 Difficulty Bombの延期
(2022年9月中旬まで)
Paris
(外部サイト)
EIP 3675
EIP 4399
2022年9月
(予定)
ETH Merge(マージ)
PoW→PoSへの変更

※上記リストは、ETH Difficulty Bomb (採掘難易度爆弾)及びMerge(マージ)と関係のある一部のETHチェーンアップデートを抜粋したものとなります。

参考:The history of Ethereum(外部サイト、英語)

Beacon(ビーコン)チェーン及びETH PoSのMerge(マージ)前のステーキング状況

2020年1月より、Beacon(ビーコン)チェーンというETHのPoSサイドチェーンがリリースされ、既に運営されています。

Beacon
※イメージ図

Merge(マージ)前でも、こちらのBeacon(ビーコン)チェーン上でETHのステーキングをすることにより報酬を得ることが可能となっております。

現時点では、すでに1300万個以上のETHがステークされており、今回のハードフォークの名称は、ETH PoWチェーンがBeacon(ビーコン)チェーンと統合(Merge(マージ))されることが「Merge(マージ)」名称の由来となります。

Beacon(ビーコン)チェーン上でステーキングされている1300万個以上のETHは、ETH Merge(マージ)の後にそのままETH PoSチェーン上で継続的にステーキングされることになります。そのため、Merge(マージ)の後、新しくPoS仕様に切り替わったばかりのETHチェーンの安全性は十分に確保されると想定されています。

また、ステーキング中のETHは現在ロックされており、Merge(マージ)の後もしばらくロック状態が継続されるので、だれも引き出し等をすることはできません。(次回実施予定の「Shanghai」アップデート(時期未定)後に、ステーキング中のETHを引き出すことが可能になる計画です)

Beacon(ビーコン)チェーンを利用して事前にステーキングの募集が行われてきたこと、ステーキング参加者の資産がMerge(マージ)の後でもしばらくロックされることから、Merge(マージ)の直後、ETH PoSが安全に運用されることが見込まれています。

参考:
The Beacon Chain (外部サイト、英語)
Beacon Chain Explorer (外部サイト、英語)

上記の「VOTED ETHER」箇所にて、ステーキング済みETHの個数確認が可能です。

開発陣営とマイナー陣営の対立による新暗号資産の発生リスク

ETH PoSへの変更が長年計画されてきたものの、ETHブロックチェーンがプルーフ・オブ・ワーク(PoW)仕様からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)仕様へ変更されるとマイニング(採掘)が必要なくなり、2015年よりETHを支援してきた活発なマイナー(採掘者)陣営はETHのマイニングを通して収益を得ることができなくなってしまいます。

そのため、一部のマイナー(採掘者)がETH PoW仕様のチェーンをイーサリアム・プルーフ・オブ・ワーク(ETHPoW/ETHW等)として継続させることを検討しております。こちらの計画が成功する場合、Merge(マージ)の後に新暗号資産が発生することが見込まれております。

ETH PoW成立させるには、主にこちらの3つのハードルがあります。

  1. ETH PoWチェーンにて、リプレイアタック (再生攻撃)を防ぐ仕組みの開発

    ETH PoWプロジェクトはリプレイアタックプロテクションを準備していることを発表しています。

  2. ETH PoWチェーンの「Difficulty Bomb (採掘難易度爆弾)」を解除するための開発

    難易度爆弾を解除するには開発が必要となりますが、ETH PoWプロジェクトは解除するための仕組みを準備していることを発表しています。

  3. ETH PoWチェーンの十分なマイナー(採掘者)の支援及び参加

    現時点では一部のマイニングプールはETH PoWを支援しないことを発表しております。十分なマイニングリソースを確保できるかは、ETH PoWのその後の寿命に大きく影響すると思われます。

参考:ETH PoWの計画に関して(外部サイト、英語)

これから起きること

Merge(マージ)の時期

Beacon(ビーコン)チェーンは2022年9月6日にMerge(マージ)の準備を目的とするBellatrix(ベラトリックス)のアップデートを行い、その後、9月15日頃にETHチェーンのTTD (Total Terminal Difficulty)が一定の値を超えるとMerge(マージ)が進行される予定です。

ETHチェーンのHash Rateが上がればMerge(マージ)の進行が早まり、逆にHash Rateが下がれば遅れることが予想されております。Hash Rateが予想以上に下がり結果的に指定のTTDになかなか到達しない場合、Ethereum Foundation(イーサリアム財団)が別の手段もしくは基準を用いて進行させる可能性もあります。

また、可能性は低いですが、なんらかの不具合もしくは未知のリスクが確認された場合、Merge(マージ)直前であっても延期となる可能性があります。

イーサリアムはバグバウンティプログラムを運用しており、クリティカルな脆弱性を発見し報告した場合、最大25万USDほどの報酬を支給しますが、9月8日までにETH Mergeに関するクリティカルな脆弱性を発見し報告した場合、通常の4倍の100万USDまでの報酬を支給すると発表しており、最後まで注意深く検証を続けております。

分裂の理由

前段の背景でも説明した、PoWからPoS仕様への変更を巡る開発陣営とマイナー陣営の対立です。

ETHを引き継ぐチェーン

一般的にはハードフォーク後の価格が高い方の銘柄がより優勢であると判断されますが、今回のETH Merge(マージ)時のETH PoSおよびETH PoWに関して、各種ステーブルコインが支援する銘柄がより優勢であると判断されETHを継承することになると考えられております。

背景としてはETHチェーン上ではステーブルコインはサブ基軸通貨としての利用頻度が高く、影響力が大きいためとなります。またハードフォーク後に、片方のチェーンの支持が少なく不安定な状態が継続する場合、最終的には終息する可能性もあります。

現時点では、どちらのブロックチェーンがより支持されるのかを判断することはできませんが、例えばUSDT及びUSDCのステーブルコインはETH PoSを支持する予定であることを示しており、ETH PoSを引き継ぐと予想されております。

※当社での取扱いの基準を説明するものではありません。

Merge(マージ)の後のETH PoSのロードマップ

今回のMerge(マージ)が完了すると、イーサリアムの完成度が50%を上回ると設立者のVitalik Buterin氏が説明しております。

各フェーズの実施時期は未定となりますが、Merge(マージ)の後に続けて、The Surge, The Verge, The Purge,及びThe Splurgeが計画されており、ETH PoSが進化し続けていくと思われます。

The Surge (波動)
ETHチェーン拡張性を向上する「シャーディング」機能の実装、等

The Verge (限界)
ネットワークバリデーションの参加をより容易にする"Verkle tree” 及び "stateless clients"の実装、等

The Purge (粛清)
保管が必用となる過去トランザクション履歴の量の削減、等

The Splurge(散財)
他の便利な機能等の実装(具体的な内容は未定)

その他に参考となる当社のブログ

※注意事項※
  • 当記事は2022年9月7日時点の情報に基づき執筆されたものです。
  • 本記事執筆時点ではETH Merge(マージ)実行前であり、その内容について正確性を保証するものではありません。

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