※本記事は暗号資産の損益計算サービス「Gtax」を提供する株式会社Aerial Partnersの藤村大生様にご寄稿いただきました。
少額から気軽に取り組める暗号資産投資ですが、年間の利益が20万円を超える場合など、確定申告が必要になるケースがあります。
確定申告は通常、翌年2〜3月に行いますが、12月までにしっかりと準備をしておけば確定申告の作業がとても楽になるほか、年内であれば税金対策ができる場合もあります。
ただ、暗号資産取引では課税タイミングや確定申告に必要なものは他の投資に比べて独特なものが多いです。
そこで、本記事では暗号資産投資にかかる税金の基本や確定申告までにやっておきたい準備、そして年内できる税金対策について説明していきます。
TOPICS
暗号資産にかかる税金の基本
はじめに、暗号資産に関する税金について簡単に説明しましょう。
会社員などの給与所得者の場合、暗号資産取引で発生した利益が20万円を超えると、原則として確定申告が必要になります。
所得には「給与所得」や「配当所得」などさまざまな区分がありますが、多くの方は暗号資産取引での所得は「雑所得」に当たります(※1)。
この雑所得は「総合課税」という制度の対象で、給与所得などと合計した金額に対して税率がかけられます。
重要なのは、この所得税率は課税される所得金額によって5〜45%まで変動することです(住民税も含めると最大で約55%)。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
40% | 2,796,000円 | |
4,000万円超 | 45% |
参考:国税庁「所得税の税率」
また、株式投資によって生じた損失は、最長3年間繰り越して利益と相殺できる「繰越控除」の対象ですが、暗号資産は雑所得に分類されるため対象外となります。
また、暗号資産で発生した損失を給与所得などの他の区分の所得と相殺することもできません(損益通算禁止)。
※1 年間の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超えるケースでは事業所得となる場合があります。本記事は雑所得となる方向けの内容となっていますので、事業所得となる方については税理士または税務署に内容をご確認いただくことを推奨します。
知っておきたい暗号資産の利益発生タイミング
暗号資産取引ではさまざまなタイミングで利益(または損失)が発生します。
主に次の7つがタイミングとしてよくあるものですので、覚えておきましょう。
- 暗号資産を売却して日本円を得たとき
- 暗号資産同士でトレードしたとき
- 暗号資産でNFTを購入したとき
- NFTを売却したとき
- 円証拠金取引をしたとき
- 貸暗号資産やステーキングの報酬として暗号資産を得たとき
- キャンペーンなど無料で暗号資産をもらったとき
確定申告の際にはこれらのタイミングを理解した上で利益額の計算をする必要があります。
詳しくはこちらの記事で解説していますので、併せて参考にしてみてください。
スムーズな確定申告のために必要な準備
翌年2〜3月の確定申告をスムーズに行うための必要な準備について確認しておきましょう。
取引所やウォレットにある保有資産をきちんと確認しておく
まずは、暗号資産取引所やウォレットにあるすべての暗号資産の種類とそれぞれの数量を把握しておきます。
LINE BITMAXでは年明け1月に年間取引報告書が発行できるようになりますので、この資料内の年末数量を確認する形でも問題ありません。
複数の暗号資産取引所やウォレットを利用している場合は、それぞれのサービスにログインして年末時点の暗号資産の保有数量を記録しておきましょう。
ここで記録した年末時点の資産状況は利益計算の正確性をチェックするときに活用することができます。
Gtaxなどの暗号資産の税金計算ツールを利用すると、年末時点の暗号資産の保有数量が取引履歴をもとに計算されます。
ツール上で表示される数量と実際に年末に保有していた暗号資産の数量を比較することで、計算の際に取引履歴に漏れがないかチェックすることができ、計算結果の正確性をある程度確認することができます。
取引履歴を控えて、損益を計算しておく
12月中に利用している取引所・ウォレットから取引履歴をダウンロードして、利益額を計算しておくことをおすすめします。
その理由としては早い段階での納税額の把握ができたり、後で紹介する利益の圧縮、ふるさと納税を行う際に利益額の把握が必要になるためです。
損計算の方法としては、国税庁の計算書を使ったり、税理士に依頼したりする以外に、「Gtax」などの税金計算ツールを使う方法もあります。事前に取引データを税金計算ツールに登録しておくと、確定申告時に非常に便利です。
損益計算や計算手法については以下の記事で詳しく解説しています。
他の雑所得も確認しておく
暗号資産の利益だけでなく、他の雑所得についても確認しておきましょう。
例えば、以下のような所得が雑所得に含まれます。
副業で得た収入
(物販による利益や原稿料などで、事業所得には当たらないもの)
受給した公的年金等
参考:国税庁「雑所得」
暗号資産取引で損失がある場合、同じ雑所得内であれば他の所得と相殺することができるため、早めに把握しておきましょう。
暗号資産の税金対策としてできること
暗号資産による所得は、損益通算や繰越控除の対象ではないため、節税は難しいと思われるかもしれません。
それでは、暗号資産でできる税金対策として、いくつか解説していきます。
含み損を確定させて、利益を圧縮する
1つめの税金対策は利益額の圧縮です。
暗号資産の利益計算はコインごとに行うため、「含み損(※2)」を抱えている暗号資産がある場合は売却して損失を確定させることで、全体の利益額を圧縮できるケースがあります。
例えば、BTC(ビットコイン)で100万円の利益、ETH(イーサリアム)で80万円の利益が出ている場合、180万円が全体の利益額になります。
このような状況で、XRP(リップル)で50万円の含み損を抱えているケースを考えてみましょう。
XRPをすべて売却すると50万円の損失が確定します。全体の利益額が180万円のときに50万円の損失が出るので、全体の利益額を130万円に圧縮することができます(※3)。
その後、XRPをすぐに買い戻せば、暗号資産の保有量はそのままに、利益額だけを圧縮することができます(※4)。
※2 含み損とは保有している暗号資産が買った時よりも値下がりし、もし売却すれば損失が出る状態のことをいいます。
※3 損益計算は移動平均法で行ってください。総平均法で計算した場合、意図したように利益額を圧縮できない場合があります。移動平均法を採用する場合は、税務署への届出が必要となります。詳しくは国税庁の案内ページをご確認ください。
※4 利益圧縮のため売却した暗号資産を買い戻した場合、その暗号資産の原価が以前よりも低くなることから、翌年以降に売却した際に利益額が大きくなります。相場の変動によっては翌年度以降も含めたトータルの利益額を圧縮できない場合もありますのでご注意ください。
暗号資産取引にかかった経費を計上する
2つ目は、暗号資産取引を行っている人なら誰でも取り組めるものです。
暗号資産取引に際してかかった経費は、所得額から差し引ける可能性があります。
例えば、以下のような経費が挙げられます。
暗号資産の譲渡原価や取引にかかった手数料(※5)
暗号資産取引に使っているパソコン代や通信費(※6)
ただし、かかった費用を闇雲に経費計上すると、税務調査が入った際に不適切だと指摘されることがあります。経費として認められる範囲については、税理士に確認することをおすすめします。
※5 Gtaxなどの損益計算ツールを利用する場合は暗号資産の原価や手数料は含めた上で自動計算されるので、ご自身で手動で集計する必要はありません
※6 暗号資産取引に係る利用料を明確に区分できる場合のみ、その区分された金額を経費算入可能
ふるさと納税を行い、返礼品をもらう
3つ目は「ふるさと納税」を利用することです。
これは納税する金額を減らせるわけではありませんが、お得に納税できる方法として紹介します。
ふるさと納税は、居住地とは異なる自治体に寄付を行う制度で、所得税からその寄付分を控除し、さまざまな「返礼品」がもらえます。
例えば、食品や日用品を返礼品として受け取れば、生活費の節約にもつながります。
ただし、ふるさと納税は所得額によって控除額の上限額が定められているほか、実質的な自己負担として2,000円がかかります。
控除額の上限額ぎりぎりまでふるさと納税を行いたい場合は、年内に暗号資産の損益計算を行っておくとよいでしょう。
まとめ
暗号資産投資によって年間20万円を超える利益が出たら、会社員などの給与所得者でも確定申告が原則必要です。
確定申告の手続きは翌年の2〜3月に行いますが、年内に含み損益を確認しておくと、税金対策につながる可能性があります。
また、年内の段階から保有資産や取引履歴などを把握しておくと、よりスムーズに確定申告を行えます。その際には「Gtax」などの税金計算ツールを利用すると、より正確かつ簡単に損益が計算できますので、ぜひ検討してみてください。
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※本キャンペーンは株式会社Aerial Partnersの提供となります。
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本記事は執筆者の見解です。本記事の内容に関するお問い合わせは、株式会社Aerial Partners(https://www.aerial-p.com/)までお願いいたします。
執筆者:藤村大生
株式会社Aerial Partners
ビジネス開発部長
税理士・公認会計士
株式会社Aerial Partnersにて暗号資産投資家の確定申告サポート、暗号資産事業者に対する経理支援を行っており、暗号資産会計・税務の知見が深い。監査法人出身でデューデリジェンス、原価計算導入コンサルなどの業務を中心に従事。また、証券会社の監査チームの主査として、分別管理に関する検証業務を牽引。
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