最終更新日 2025.02.13
※本記事は暗号資産の損益計算サービス「Gtax」を提供する株式会社Aerial Partnersの藤村大生様にご寄稿いただきました。
暗号資産投資は新しい投資対象として注目されていますが、税金・確定申告の面では少し複雑と言われています。
この記事では、暗号資産の税金の知識がなく不安な方のために、確定申告を行うのに必要な情報をわかりやすく解説します。
TOPICS
1)
暗号資産にかかる税金
- 暗号資産に関する所得は「雑所得」
2)
暗号資産取引で損益が発生するタイミング
3)
暗号資産で確定申告するときの手順
- 1. 年間の暗号資産の損益額を計算する
- 2. 確定申告書を作成・提出する
- 3. 納税する
4)
暗号資産の確定申告でよくあるQ&A
5)
まとめ
暗号資産にかかる税金
暗号資産に関する所得は「雑所得」
まずは暗号資産にどのような税金がかかるのかをみていきましょう。
暗号資産から得た所得は多くの場合「雑所得」に分類されます。
この雑所得は給与所得などと合わせた金額に対して税率がかけられ、5%〜45%と、給与所得などの所得額が大きいほど税率も高くなります。(所得税に加えて住民税約10%も課されます)
給与所得のみの一般的な会社員の方の場合でも、この雑所得が20万円を超える場合には原則として確定申告が必要になります。
また、暗号資産取引によって発生した損失は、他の所得区分の所得と相殺することができない点や、損失を翌年以降に繰り越しができないといった特徴があります。
※本記事では給与所得のみの一般的な会社員の方を想定して解説しています。また、年間の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超えるケースでは事業所得となる場合があります。本記事は雑所得となる方向けの内容となっていますので、事業所得となる方については税理士または税務署に内容をご確認いただくことを推奨します。
暗号資産取引で損益が発生するタイミング
暗号資産には現物の売買だけでなく証拠金取引や暗号資産貸出サービスなど、さまざまな種類の取引があります。
それぞれの取引でどのようなタイミングで損益(利益・損失のこと)が発生するかを把握しておくことが重要です。
以下では主要な暗号資産取引の損益が発生するタイミングを紹介しています。
暗号資産取引において 損益が発生する主なタイミング |
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基本的には暗号資産を持っているだけでは損益は発生しません。上記のように暗号資産を売ったときや貸暗号資産サービスで報酬の受け取りをしたときに損益が発生します。
また、暗号資産同士を交換したり暗号資産でNFTを購入するなど、一見利益が出ていないように見える取引にも注意が必要です。
例えば、現金100万円で購入したビットコインが150万円分に値上がりし、その全額をイーサリアムに換えた場合、値上がり分の50万円が利益となります。
詳しくはこちらの記事でわかりやすく説明していますので、ぜひ参考にしてください。
暗号資産で確定申告するときの手順
暗号資産に関して確定申告する際は、以下のような流れで計算や手続きを行います。
- 年間の暗号資産の損益額を計算する
- 確定申告書を作成・提出する
- 納税する
1年間の所得の確定申告期間は翌年の2月15日〜3月15日です。余裕を持って手続きを行いましょう。
※開始日・終了日が土日と重なる場合は、次の週の平日にずれることがあります。
1. 年間の暗号資産の損益額を計算する
暗号資産の損益計算の最初のステップとして、利用している全ての暗号資産取引所・ウォレットから取引履歴データをダウンロードします。取引履歴に漏れがあると正しく計算できないので注意しましょう。
収集した取引履歴データを元に損益計算ツールや国税庁が提供しているエクセルの計算シートを使って計算を行います。
ある程度大きな利益が出ていたり、費用をかけても手間を省きたいという方は、税理士に依頼するのも手段のひとつです。
また暗号資産の損益計算では、暗号資産1枚あたりの平均取得単価を正確に算出する必要があります。その平均取得単価の計算方法として、移動平均法と総平均法の2種類が認められています(※)。
計算方法の違いについては以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
※移動平均法で計算を行う場合は、税務署への届出が必要になります。詳しくはこちらをご確認ください。
2. 確定申告書を作成・提出する
年間の損益額を計算して確定申告が必要だとわかったら、確定申告書を作成します。
スマホとマイナンバーカードがあればオンラインで確定申告書の作成から提出まで行うことができます。
その他、税務署の窓口持ち込み、郵送での提出も可能ですので、自分に合った方法で実施しましょう。
3. 納税する
確定申告書を提出すると納税額が確定するので3月15日(※)までに納付手続きを行います。
近年ではクレジットカードやスマートフォンアプリを利用したキャッシュレス納付も利用できるようになっています。
※振替納税を選択すると振替日は4月下旬ごろとなります。
暗号資産の確定申告でよくあるQ&A
- 途中で名称が変わった暗号資産はどのように処理すればいいですか?
- LINEグループが独自に発行した暗号資産「リンク(LINK)」が2023年に「フィンシア(FNSA)」へ名称変更されたように、保有していた暗号資産の名称が途中で変更されることがあります。暗号資産の名称が変わっただけで保有数量に変更がない場合は、損益の計算時に特別な処理を行う必要はなく、同じ暗号資産として計算を行います。
- NFTの取引をした場合はどのような処理が必要ですか?
- NFTを安く買って高く売った場合は、その差額分が利益になることは想像できるかと思います。ただし、暗号資産でNFTを購入している場合は注意が必要です。
例えば10万円で購入したフィンシア(FNSA)が15万円に値上がりし、そのフィンシア全額を使ってLINE NFTで15万円相当のNFTを購入したとします。その場合はNFTの購入額15万円とフィンシアの購入額の10万円の差額である5万円が利益となります。 - 年度をまたいでしまった損益はどうなりますか?
- 暗号資産を保有した状態で年をまたいだ場合、その暗号資産の取得価額(※)は翌年に引き継がれます。例えば2023年12月に500万円で購入したビットコインを2024年1月に600万円で売却した場合の計算は以下のようになります。
600万円(売却金額) ー 500万円(持ち越した取得価額) = 100万円(2024年1月の利益)一方、暗号資産取引で発生した損失は翌年に繰り越すことができないので注意が必要です。株式や投資信託で損失が出た場合は最大3年間繰り越すことができ、翌年以降に出た利益と相殺することができるのですが、暗号資産の場合は損失を翌年以降に繰り越すことができません。※取得価額:暗号資産を取得するのにかかった費用(手数料等も含む)
- 別の取引所も利用している場合はどうすればいいですか?
- 複数の暗号資産取引所で取引している場合、損益計算をするためには、利用している全ての取引所の取引履歴を集めて計算する必要があります。
これは、異なる取引所で同じ種類の暗号資産(例えばビットコイン)を取引している場合、それぞれの取引所でのビットコインの原価を合わせて計算する必要があるためです。複数の暗号資産取引所を利用している場合は損益計算が複雑になりやすいため、「Gtax」などの損益計算ツールを利用するおことをおすすめします。
※2024年8月29日のブロックチェーンメインネット「Finschia」と「Klaytn」の統合により、暗号資産の「FINSCHIA(フィンシア)」から「KAIA(カイア)」への自動移行の手続きを完了しました。
まとめ
暗号資産取引による所得が20万円を超えると原則として確定申告が必要になります。暗号資産による所得は雑所得に分類され、他の所得区分の所得との損益通算ができない、損失を翌年以降に繰り越せないといった特徴があります。
確定申告の際は暗号資産取引によって発生した損益額を計算する必要がありますが、初めての方は時間がかかる場合もありますので、後回しにせずに早めに取り掛かることをおすすめします。
暗号資産の損益計算サービス「Gtax」の詳細はこちら
【ご注意事項】
本記事は執筆者の見解です。本記事の内容に関するお問い合わせは、株式会社Aerial Partners(https://www.aerial-p.com/)までお願いいたします。
執筆者:藤村大生
株式会社Aerial Partners
ビジネス開発部長
税理士・公認会計士
株式会社Aerial Partnersにて暗号資産投資家の確定申告サポート、暗号資産事業者に対する経理支援を行っており、暗号資産会計・税務の知見が深い。監査法人出身でデューデリジェンス、原価計算導入コンサルなどの業務を中心に従事。また、証券会社の監査チームの主査として、分別管理に関する検証業務を牽引。
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