※本記事は暗号資産の損益計算サービス「Gtax」を提供する株式会社Aerial
Partnersの藤村大生様にご寄稿いただきました。
暗号資産(仮想通貨)はトレード以外にも利用する機会がありますが、トレードで生じた損益だけではなく、利用時に所得とみなされて税金が発生するタイミングが存在します。
本記事では、基本的な課税タイミングから特殊なシチュエーションについても解説していきます。
TOPICS
1)
暗号資産の基本的な課税タイミング
2)
決済したときは差額が所得に
3)
レンディング報酬の暗号資産は取得時に所得となる
4)
ブロックチェーンが統合したときはどうなる?
- 取得単価は以前のものを引き継ぐ
- 移行に伴う税金は発生しない可能性が高い
5)
確定申告で所得を計算する際の注意点
6)
まとめ
暗号資産の基本的な課税タイミング
暗号資産で税金が発生する流れは、基本的に「損益が確定したタイミングで所得の計算がされ、その金額に応じて税金が発生する」というものになります。
また、昨今ではキャンペーンでビットコインをもらえるなど、通常の購入以外でも暗号資産を取得できるケースがあり、その場合は取得時点で所得として計算するルールも存在します。
そのため、暗号資産に関する基本的な課税のタイミングとしては、主に次のようになります。
- 暗号資産を売却して日本円を得たとき
- 暗号資産で決済(商品購入やサービス料金の支払いなど)をしたとき
- 暗号資産同士を取引したとき
- エアドロップやプレゼントなどで暗号資産を無償で取得したとき
- ハードフォークで新たに取得した暗号資産を売却したとき
- マイニングやステーキング、レンディングなど暗号資産による報酬を得たとき
また、暗号資産には取引以外に利用できるシーンがあるため、下記より詳しく解説していきます。
決済したときは差額が所得に
暗号資産で決済した際にも所得が発生することがあります。 このときは、商品を購入したときの価格と暗号資産を得たときの取得価額の差が所得とみなされます。
たとえば、LINE BITMAXの取り扱い通貨「カイア(KAIA)」を1KAIA = 20円のときに取得し、その後1KAIAが30円に値上がりした状況で、900円分のブロックチェーンゲームのアイテムを購入したとします。
この場合、決済に必要なKAIAの量は、
900円 ÷ 30円 = 30KAIA
です。
次に、所得として計算される金額は、取得時の価格(20円)と決済時の価格(30円)の差額である10円に、使用したKAIAの数量(30KAIA)を掛けた金額になります。
つまり、
30KAIA × 10円 = 300円
が課税対象の所得とされます。
デジタルアイテムを取り扱う「DOSI」では、KAIAを決済方法として利用できますが、購入時には、KAIAを取得した際の価格と、KAIAでアイテムを購入したときの差額が所得とみなされるので、所得の計算時に見逃さないように注意しましょう。
レンディング報酬の暗号資産は取得時に所得となる
保有している暗号資産を一定期間貸し出し、利益を得る「レンディング(暗号資産貸出サービス)」というサービスがありますが、貸し出しによる利益が発生すると所得とみなされて課税対象となり、金額次第で税金が発生します。
レンディングによる所得発生のタイミングは、貸し出しが終わったあとのレンディング報酬が支払われたときです。報酬を受け取った時点の価格が取得価格となります。
レンディングは中長期で行うものなので、その間に貸し出している暗号資産が値上がり・値下がりすることもあり得ますが、終了時には暗号資産のままで返ってくるため、返却時に所得が発生することはありません。
ブロックチェーンが統合したときはどうなる?
2024年8月29日に、ブロックチェーン「Finschia」と「Klaytn」が統合されたことで、LINE BITMAXでは取扱暗号資産の「フィンシア(FNSA)」を「カイア(KLAY)」へ移行しました。
このようなブロックチェーンの統合が起きた際の所得や取得価額について、税制上どのように取り扱うと考えられるかを解説していきます。
※ブロックチェーンの統合時の税務上の取り扱いについては国税庁から明確な指針が公表されておりません。実際に確定申告を行う際はお近くの税務署または税理士に相談することを推奨いたします。
取得単価は以前のものを引き継ぐ
暗号資産が統合された場合、移行後の暗号資産の取得単価は、移行前に所有していた暗号資産の平均取得価額が引き継がれます。
たとえば、KAIA(カイア)のブロックチェーン統合に伴う換算レートは
1FNSA:1KLAY = 1:148.079656
です。
この場合、FNSAの平均取得価格が3,000円であれば、統合後のKAIAの取得価額は
3,000円 ÷ 148.079656 = 20.26円
と計算されます。
移行に伴う税金は発生しない可能性が高い
移行による税金は発生しない、もしくは所得への影響は基本的にないと考えられます。ブロックチェーンの統合によって、所有していた暗号資産の種類や通貨単位が変更されることを「リデノミネーション」と呼ぶことがあります。
この際、統合後の暗号資産の取得方法について、前述の取得単価の引き継ぎを行っているとみなすか、自動移行の際に旧暗号資産を売却して新暗号資産を買い直したとみなすのかによって、対応が異なってきます。
取得単価を引き継いだとみなす場合は、交換のタイミングで損益が発生したことにはならず、所得への影響もありません。
保有していた旧暗号資産を売却して新暗号資産を買いなおしたとみなす場合は、暗号資産同士の売買によって発生した利益が所得とみなされ、課税対象となります。
上記のように、売却して買い直したとみなす処理を行うと損益が発生し、それが全体の所得額に影響を与えて税金がかかってくる可能性も想定されます。
一方、取得単価を引き継ぐ方法は損益が発生しないため、所得や税金が増える心配はありません。 KAIA(カイア)のようなブロックチェーン統合が行われた際は、旧暗号資産の取得単価を保存・管理しておくことをおすすめします。
確定申告で所得を計算する際の注意点
暗号資産の売買やサービス利用などで得た所得は「移動平均法」もしくは「総平均法」で損益計算し、確定申告を行います。
【移動平均法とは】
暗号資産の売買やサービスを利用するたびに、取得価格を算出して計算する方法。
【総平均法とは】
暗号資産の売買やサービス利用の都度取得価格を算出するのではなく、所得税の計算期間でまとめて算出する方法。
移動平均法は暗号資産を手に入れたときの取得価格と、値動きによって生まれた差額を損益とする計算方法です。
例えば、1KAIA = 20円のときに手に入れたKAIAが値上がりし、1KAIA = 30円のタイミングで別の暗号資産と売買したり、商品購入をしたりした場合、10円の差額が所得(利益)とみなされます。
総平均法は、一定期間内に行った暗号資産・商品購入の合計金額から、購入数量で割ってざっくり計算するやり方です。
総平均法は移動平均法に比べて計算しやすいものの、暗号資産を購入したタイミングや値動きによっては実際の取得価格がわからなくなる可能性もあります。
また、先述したブロックチェーンの統合というイレギュラーな状況が起きた際は、過去の取引内容から取得価額を確認し、さらに交換が行われたときのレートで計算する必要があります。
今年は確定申告をしなくても、今後取得価額のデータが必要になったときのために、毎年の取引データは保管しておくことをおすすめします。
まとめ
暗号資産の取引や利用において、税金が発生するタイミングは多岐にわたります。基本的には、暗号資産の売却や他の暗号資産との交換、商品・サービスの購入時に損益が確定し、その差額が所得として認識されます。
また、エアドロップや、レンディングなどで得た暗号資産も、取得時点または報酬受取時点で所得となります。
ブロックチェーン統合の際は、取得単価の引き継ぎに注意を払い、正確な取り扱い方法については税務署や専門家に相談することをおすすめします。
確定申告の際には、移動平均法や総平均法を用いて正確に損益計算を行い、取引データや取得価格を適切に管理・保管することが重要です。
暗号資産の価格変動や複雑な取引形態が多い場合、専用の損益計算サービスを活用して、正確な申告を心がけましょう。
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※本キャンペーンは株式会社Aerial Partnersの提供となります。
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【ご注意事項】
本記事は執筆者の見解です。本記事の内容に関するお問い合わせは、株式会社Aerial
Partners(https://www.aerial-p.com/)までお願いいたします。
執筆者:藤村大生
株式会社Aerial Partners
ビジネス開発部長
税理士・公認会計士
株式会社Aerial Partnersにて暗号資産投資家の確定申告サポート、暗号資産事業者に対する経理支援を行っており、暗号資産会計・税務の知見が深い。監査法人出身でデューデリジェンス、原価計算導入コンサルなどの業務を中心に従事。また、証券会社の監査チームの主査として、分別管理に関する検証業務を牽引。
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